Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

社労士試験、投機関連(大阪金先物が中心)その他諸々。このブログのトレードに関する箇所は、僕の勝手な相場観を書いています。価格も僕の予測に過ぎません。内容の正確さに最善は尽くしていますが、一切の責任を負うものではありません。売買は必ずご自分の判断で行って下さい。また、記事中で氏名の敬称は原則として省略しています。ご了承ください。

労一 本試験択一式

問1
受験生でこの統計(H28労働災害発生状況の分析)まできちんと見ていた人はごく少数だったのではないか。ただ、本統計は毎年メディアで報道されており、全体的な傾向は掴んでおいて欲しかった。A記載事項は減少傾向だが、B記載事項は必ずしもそうなっておらず、場合によっては前年比で増加していることがあるのは、統計発表時の新聞報道でも問題視されていたことで、Aが正しく、Bが誤った記載、という事は判断が付いた。C以下は本統計の詳細に入った設問で、出来なくても仕方ない。作問技術的に見ても、C以下はほぼ同傾向の選択肢であり、この中から正解肢を作るのは、作問者としてはやりにくいだろう。個人的には得点して欲しい設問。
問2
H29厚生労働白書から。前問より難しいか。この分野をきちんと追っていた人なら、ACは判断できたのではないか。特に、Cの後半については、ここ数年の好況に支えられた若年労働力の不足を思い起こしてもらえると良かったかと。Dは、労働者一人当たりの月額賃金の産業間格差を一般労働者とパート労働者とで比較したもの。最終行を読んで、中日新聞毎週日曜日の求人折込広告を想起した。A3両面カラーで4〜5枚入っているが、あれを見ると確かに、様々な産業の求人広告の中で、時給は900〜1100円くらいが多いが、妙に納得してしまった。Bは「相対的貧困率※」という語が、何の説明もなく突然出てくる。作問者にしてみれば「知っていて当然」という感じなのだろう。※手取りの世帯所得の中央値の半分以下で暮らす者の割合(阿部 彩『子供の貧困』岩波新書P44以下)。Eが正解肢。「過去10年にわたって」月間賃金額が「着実に上昇」ということは、グラフ化すれば完璧な右肩上がり。勝率10割だ。天才・藤井聡太7段だって勝率は8割5分だというのに。あり得ない。
ちなみに、選択肢ごとにH29白書の該当ページを示すので、実際に確認して欲しい。白書そのものは厚生労働省のホームページからダウンロード出来る。
A P38 B P61 C P65 D P74 E P72

問3
労契法の組合せ問題。エが明らかに誤りなので、ア・イのどちらかが誤り、ということになる。この辺は組合せ問題の解き易いところだ。イが正しいことは、普通に勉強していた受験生なら誰でもわかるレベル。アは大日本印刷事件の最高裁判決から。採用内定の実体は企業ごとに多様であり、各企業個々の具体的な事実関係に即して検討していく必要がある。その結果、本件では設問後段のように判断されたわけだ。したがって、採用内定については「事実関係にかかわらず」ではなく「当該企業における採用内定の具体的事案に即して」検討していく必要があるので、本肢は誤り。
問4
これも難問。受講生レベルで的確に判断できるのはEだけだが、残念ながらこれは正解肢ではない。正解肢のCは過労死防止対策推進法から。僕の講義では、行政庁発行の概略を配布したことがあるだけだが、本法のボリゥム(本則14条だけしかない。A4、3ページ)からすれば、全文を配布して読んでもらった方が良かったかも知れない。Aは、一般的拘束力における3/4要件の取り方に関する設問。一般的拘束力については、趣旨・目的を含めて講義では話をしているが、ここまでは言及していなかった。まぁ、知っていれば簡単に判断できるレベルの話しなのだが。Bは、派遣先の講ずべき措置中、募集情報の提供義務等からの出題。テキストには派遣元の講ずべき措置として、特定有期雇用派遣労働者に対する直接雇用の依頼の話が出てくるが(19年用テキストP68〜9)、これに対応するような形で、派遣先事業主にも、雇入れの努力義務(法40条の4)、募集情報の周知義務(法40条の5 本肢はこちらからの出題。共にテキスト未掲載)を課している。書いてしまえば「こんなものか」という程度の内容なのだが、本法は他にも勉強すべき所が山ほどあるからねぇ。
問5
社労士法からの出題。労一で社労士法! これで1点ゲット! と思った方も多かったのではないか。ところが、選択肢の多くはメインストリームから外れたネタが多く、結構難しい。本法の頻出項目である「社労士の権利義務(法15条〜23条の2)」はすべて外されている。要するに本問は、社労士として活動するための基礎知識を問うものではなく、完全に落とすための設問である。まず、ACは外せるだろう。前者を知らなければ話にならないし、後者も「重大な非行→期限を区切って必ず失格処分(懲戒処分の中で最も重い)にしろ」と本肢では言っているわけだ。これはやり過ぎだろう。次に外せるのはDか。定款の変更が総社員の同意のみ、というのはちょっと窮屈。Eは「委託者に」選任させる。本問は正解肢のBも含め、知ってるか知らないか、を試すもの。こういう問題を見ると、テキスト中心の学習をしつつ、条文集で周辺知識を補強していく事の重要性を感じるね。