凄い本だった。800ページを超える大著。そのうち500ページ以上が、歴代メンバーの生い立ちとバンドとの繋がり、メンバー間の人間関係(出会い、蜜月、破局、再会、許し等々)の考察に充てられ、それらが濃密に書かれている。ロバート・フリップを中心とした天才的音楽家の離合集散、と言ってしまえば簡単だが、これが50年の長きにわたって繰り返され、しかも現在進行形であることに驚く。
クリムゾンは当初、ムーディー・ブルースの弟分バンドとして、同じレコード会社から作品がリリースされ、ムーディーズのツアーのサポートも務めるはずだった。ところが直前になってキャンセルされる。この辺りの顛末が詳細に書かれている。結局、デビューアルバムも別のレコード会社からの発売となる。この辺りのいきさつはファンとして知っていたが、今回本書を読んで、ボツになったトニー・クラーク(ムーディー・ブルースのプロデューサー)のプロデュースバージョン(ファースト・アルバムのごく一部らしいが)が公式に聴けることがわかったのは収穫だった。
また、デビュー前のクリムゾンのギグを聴きに来ていたジミ・ヘンドリクスがフリップのギタープレイに感動し、楽屋に来て「心臓に近い左手で握手してくれ」と称賛した。ヘンドリクスはあのクラプトンに「お前ベースやれ」と言ったプレーヤーだ。そのヘンドリクスがフリップのプレイを激賞したわけだが、ときのことも当然載っている。
その他、数えきれないくらいの興味深いエピソードが満載だが、税込7,000円を超える価格。本文は2段組みで、社労士受験生的に言えば、労務行政から出ている労災保険法のコンメンタール辺りをイメージしてもらえれば良いだろう。取り敢えず今回は図書館で借りた。図書館の本は住民共有の財産だ。それに、この歳になると、どんどんとモノを増やして、と言う気にはなれない。むしろその逆だ。年金暮らしだし。しかし本書は、、、そのうち買ってしまうかもな。あまりにも内容が盛りだくさんだし、それに、ライブを聴きながら当該ライブのレビューを本書で読みたいしな。