ムーディ・ブルース唯一の創設メンバーで、ドラマーのグレアム・エッジが11月11日に死去したことを、メンバーのジャスティン・ヘイワードが伝えている。これでムーディーズの全盛期のメンバー5人のうち、レイ・トーマスとグレアムの2人が亡くなったことになる。年齢的にも、1960~70年以降に活躍したロックスター逝去のニュースは、これから増えてくるんだろうな。
グレアムについては印象に残っていることが幾つかある。
1974年の来日時(残念ながら、ムーディ・ブルースの来日公演は、この時限りである)、ML(ミュージック・ライフ)誌のインタビュー記事では、メンバー中、グレアムだけが答えていた。メロトロンの導入がバンドに与えた影響の大きさなどについて話していたが、このバンドの様々な見解は、グレアムを通して公に語られることが多かったように思う。最近このブログで紹介した『キング・クリムゾン全史』でも、ムーディー・ブルースがキング・クリムゾンをツアーのサポートから外したことが書かれていたが、その理由についてもグレアムが「彼らは単に強力すぎたのだ」と簡潔に話していた。僕が知る限り、この一件で、ムーディーズのメンバーが、理由(らしきもの)を語っているのは、グレアム以外には聞いたことが無い。
こんな感じで、グループのスポークスマン的な役割も担っていたのかも知れないな。
個人的な話になるが、僕は高校時代、このバンドのファンクラブに入っていた。ここで会報に、グレアムのソロアルバムのレコード評を書いたことがある。ギターやボーカリストのソロアルバムではなく、バンドのドラマーの、である。どうやって書こうか結構悩んだのを覚えている(あの会報、どこかにあるはずだが、、、)。まぁ、今読み返したくはないな。
グレアムで最も特徴的なのは、ドラムスタイルと言うよりも、詩の朗詠だろう。ファンなら皆知っているが、彼はバンドのレコードに自作の詩を提供している。それがアルバムの最後を飾ることもあり、時としてアルバム全体の雰囲気を決定づけたりもする。そういう意味では、他に類を見ないユニークなドラマーだった。
僕の考えるグレアムのベスト・プレイは『ロックンロール・シンガー』。ゆっくりと入り、徐々に高揚していくドラミングが堪能できる。いま、書きながらこの曲を聴いているが、亡くなった実感がわかないな。でも、もういないのか。
ご冥福をお祈りします。