Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

社労士試験、投機関連(大阪金先物が中心)その他諸々。このブログのトレードに関する箇所は、僕の勝手な相場観を書いています。価格も僕の予測に過ぎません。内容の正確さに最善は尽くしていますが、一切の責任を負うものではありません。売買は必ずご自分の判断で行って下さい。また、記事中で氏名の敬称は原則として省略しています。ご了承ください。

『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』(ブレイディみかこ著 KADOKAWA刊)読了

このブログ、最近書評が多いな、と思っている読者もいると思う。まさにその通りで、理由は、建玉が膠着しており、動きがとりにくい。それに、GWの後半からずっと仕事で、今月に入って休んだのは1日と6日だけ。深夜に帰宅した後にチャート画面を開いても、派手に動く時間は過ぎており、チャンスはほぼない。結局、本を読むくらいしかやることは無くなってしまうのだ。

本作の著者ブレイディみかこは、名前は聞いたことがある、くらいで著作を読むのはこれが初めて。小説、という形態をとっているが、著者の経験が結構投影されているように感じる。「ノンフィクションではないし、自伝でもない」と書いてはいる(P252)が、いたる所に著者の経験したことのエキスというか、そういったものがふんぷんとしているのがわかる。物語の展開する場所は、著者の生まれ故郷である九州から始まり、後は英国を舞台に展開するものが多い。「英国を舞台に」と言っても、ほとんどの場合、主人公はシット・ジョブ(くそみたいに報われない仕事)の中心にいる。デヴィッド・グレーバーは「ブルシット・ジョブ」(それをしている本人ですら、意義を見出すのが難しい仕事)の無意味さを指摘した。コロナ過を経て、社会を回すのに真に必要となるエッセンシャルワークの担い手に注目が集まる時期があったが、このような仕事の中心に位置するのが、シット・ジョブだ。本作では、様々な状況下におけるシット・ジョブの実体が、主人公や登場人物の実体験として描かれる。特に、英国の階級社会を舞台にした第二話(ぼったくられブルース)、ロンドンの小さな日本人コミュニティの陰湿さを描いた第五話(ソウルに良くない仕事)などは、著者だからこそ描ける世界なのだろう。

本書は「労働」をテーマにした「私小説」である。賃金、労働時間など労働にまつわる様々な統計を社労士講師業時代には見てきたが、本書は、もちろんそのような切り口とは全く異なり、「わけのわからないところからヌルっと出てきて(P252)」現代の労働を描いたものだ。ある意味、数字だけを見ているより何倍も面白い。

と、ここまで書いてきて、次回の記事ではようやく、先物トレードのことが書けそうだ。