一気に読んだ。が、これには訳がある。図書館で借りたのだが、返却日が16日だったのだ。この日のうちに読んで、早急に「読後感・書評」としてアップし、17日の相場に影響しないよう、早めに(と言っても既に1日遅れだが)返却しなければ。
社労士の受験講師をしていたとき、法改正項目をチェックするため、官報にはよく目を通していた。なので、本書のタイトルにある「行旅死亡人」について記載した欄の存在も知っていたし、(社労士受験とは無関係だが)よく読んでもいた。
簡単に言うと、行き倒れなど、身元が判明しない死者のことで、発見時の状況や所持品などを官報に掲載し、引取り手が現れるのを待つわけだ。著者の一人である共同通信大阪社会部記者の武田は、記事のネタ探しのために「行旅死亡人データベース」を見ていて、偶然、ある高齢女性の死亡記事を見つける。そこにはその女性の死亡当時の状況と、ある身体的特徴、それに所持金(3400万円!)が記載されていた。
本書は二部構成。Ⅰはこの女性の身元が判明するまで、Ⅱでは判明した女性の過去を、記者二人が遡っていく過程が描かれる。最後まで読んでも、女性についての謎の全てが解き明かされるわけではない。しかし、ある程度読み進むと、表紙のイラストに後ろ向きに描かれた女性が見ている光景や、彼女が何故、後ろ手に組んだ左手でぬいぐるみを掴んでいるのか、またそのぬいぐるみの意味が分かる。
誰もが持っているであろう、人の人生の重みと価値を感じることができる作品。読んだ本に順位をつけることなどしたくないが、ひょっとしたら、今年最大の収穫になるかも知れない。