Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

社労士試験、投機関連(大阪金先物が中心)その他諸々。このブログのトレードに関する箇所は、僕の勝手な相場観を書いています。価格も僕の予測に過ぎません。内容の正確さに最善は尽くしていますが、一切の責任を負うものではありません。売買は必ずご自分の判断で行って下さい。また、記事中で氏名の敬称は原則として省略しています。ご了承ください。

07/25 大阪金ミニ先物 +12円 酷い一日

1   07/25  01:08  11991.5S  →  07/25  01:19  11987.5B     +     4.0 ×3

この日のトレードはこれだけ。後は相場がどこまで下がるのか、呆然としながら動きを見ていた。含み損は約100万円。この状態で良く本など読めたものだ(前回記事で上げた「未来経過観測員」を読みながら、相場をちらちらと見ていた)。傷が深くなると、痛みをあまり感じなくなるのかも知れない。これを書いている07/27  04:10  現在も値洗いは▲75万円。多少軽くなっている。

相場は、来週のFOMCと日銀会合を通過しないと方向性が見えてこないだろう。方向性が見えてから、その方向にトレードするなら理にかなっているのだが、こちとら既に買い玉を大量に抱えている。まったく、お祭りトレード、前後不覚トレード、へべれけトレードとでも言おうか、、、。いや、建玉したときにはそれなりの理由はあったのだが、今となってはそんなものはどうでも良くなってしまった。それくらい今回の急激な円高で状況が変わってしまったのだ。

ま、円建て、ドル建て共に、金価格がこのまま下がり続けることは無い。特に円建ては、為替の影響はあっても、長期線は(一時的に割れることはあっても)最終的に維持できると見ている。見立てが外れたら、その時考える。

『未来経過観測員』(田中空 著 KADOKAWA 刊)読了

今の僕の状況は、のんきに読書しているバヤイではない。ドローダウンのレベルは100万を行ったり来たり。4~5月にかけてあれだけ苦しんだ介入相場が可愛く見えてくるくらいの値動きである。

でもまぁ、今回は読後感なので、相場の話はここまで。

 

著者の田中空(「くう」と読む)の専門は物理学。本作も「そうだろうなぁ」と思わせる内容だが、僕みたいな、ガチガチ文系ジジィでも読みにくいと思わせるところはない。一気に読めたね。その意味では、かなりの筆力の持ち主、とみた。

「未来経過観測員」と言うのは「れっきとした国家公務員で、国の未来を定点観測するのが仕事だ(P7)。本作の主人公、モリタは、高邁な理想を抱いて、ではなく、借金返済のために、この仕事に就いた。超長期睡眠技術によって、100年ごとに1カ月だけ覚醒し、レポートを作成するのが仕事。睡眠中にも給与が支給される、とのこと。まぁ、突飛な仕事だが、そういえば、昔読んだ村上春樹の作品(『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』)に、頭蓋骨の割れ目を読む(だったかな)仕事が出てきたが、あれは魅力的に感じたな。でも、裏返しに考えると、当時はそれだけ現実世界に不満があったということか。でも今回のモリタの仕事は、危険度が高い。それは読むとわかる。しかし、伴侶的な役割を果たすロエイやトスカニーニ、この二人の人物(?)像がとても魅力的に描かれており、危険な旅路が描かれている割に、楽しく読めてしまう。

こういう作品に当たることがあるので、読書はやめられないよ。

07/22 大阪金ミニ先物 +63円

1   07/19  17:14  12280.0S  →  07/19  17:19  12264.0B     +   16.0 ×3

2   07/19  18:23  12259.0S  →  07/19  19:08  12254.0B     +     5.0 ×3

今週のトレードは、これを書いている 07/23  20:32現在、まだこれだけ。この2回のトレードも、ブローカーが発行する売買報告書の〆(或いは取引所による取引日の区切り)の関係で今週(07/22)になっているだけ。実質はノートレードだ。

と言うのも、07/19の日本時間帯以後、為替の動きもあって、明確に下げてきた。この下げ道中で、ナンピンを重ねて、かつ、わかり易い下げ局面では両建ても使って、何とかしのいできている。

今回の下げは金標準ベースで、高値(07/17  12679円)から、今のところの安値(07/23   12056円)まで、623円。週後半には米GDP、米PCEなど重要指標の発表があるので、ここで底打ちと判断するには、まだちょっと早いか。

 

 

 

07/16~19 大阪金ミニ先物 +757.5円(07/16:576円 /17:46円 /18:82円 /19:53.5円)

07/16決済分

1   07/11  22:35  12298.0B  →  07/15  20:51  12328.5S     +   30.5 ×2

2   07/11  22:26  12324.0B  →  07/15  20:51  12328.5S     +     4.5 ×2

3   07/11  22:46  12256.0B  →  07/15  20:51  12328.5S     +   72.5 ×1

4   07/11  22:48  12263.0B  →  07/15  20:51  12328.5S     +   65.5 ×1

5   07/12  17:32  12342.0S  →  07/12  18:30  12337.0B     +     5.0 ×1

6   07/12  17:32  12341.5S  →  07/12  18:30  12336.5B     +     5.0 ×1

7   07/12  21:31  12278.0B  →  07/15  20:51  12328.5S     +   50.5 ×2

8   07/12  22:12  12228.0B  →  07/15  20:51  12328.5S     + 100.5 ×2

9   07/15  23:00  12315.5B  →  07/15  23:51  12343.5S     +   28.0 ×2

07/11は帰省旅行から戻った翌日、米CPI発表の日だ。ここから翌日のPPI発表にかけて、数字によっては大きく動く可能性を考え、結構集中してトレードした。その結果が上記。CPI発表(21:30)後の最初の取引が22:26(上記2)なので、ここは結構辛抱強く値動きを見ていたんだな。いま、その時の15分足チャートを見ているが、この時はRSIを文法通り逆張りで使った。その結果が上の1~4。

12日のPPIを前にした下げを獲ろうとしたのが5,6。この時は何故か怖気づいて、早々に仕切ってしまった。一時的な両建ての状態にあったので、もう少し気長に持っていれば良かったのに、と今は思うが(道中では中々そうは思えないものだ)。

7,8はPPI発表後。このうち、7は発表後直ぐの取引だ。前日のCPIと異なり、辛抱が出来ていない。1~4も保持したままだったので、余裕が無かったのだと思う。12日は23時にもう一つ指標(ミシガン大学消費者信頼感指数)の発表があったので、PPIによる下げは、ここで切り返すと予想していた。しかし実際にはその前から切返しが始まり、週を跨いで15日の祝日取引で全玉を利食うことができた。祝日取引は始まって日が浅いが、出来高も危惧したほど少なくはなく、安心安心。

 

07/17決済分

1   07/17  02:05  12572.5B  →  07/17  02:28  12581.5S     +     9.0 ×2

2   07/17  02:08  12567.5B  →  07/17  02:27  12581.5S     +   14.0 ×2

この日は16日の22時台中盤から上げが続いていた。この上昇は17日の01時手前まで続いたが、この間トレードはしていない。多分、図書館に返さなければならない本を読んでいたのだと思う。と言うことで、本来はエントリーするところではないが、この辺りの時間帯は多くが往来相場なので、下げたところを逆張りで買って、上げたところで仕切って、後はおやすみなさい。

 

07/18決済分

1   07/17  17:03  12518.5S  →  07/17  17:13  12505.5B     +   13.0 ×2

2   07/17  17:59  12466.0S  →  07/17  18:28  12461.5B     +     4.5 ×2

3   07/17  21:49  12489.0B  →  07/17  22:09  12507.5S     +   18.5 ×2

4   07/18  00:50  12435.5S  →  07/18  01:06  12432.0B     +     3.5 ×2

5   07/18  00:50  12435.0S  →  07/18  01:06  12432.0B     +     3.0 ×1

この日は 3 を除いて売から入る。

1,2は共に、あまり上手いトレードじゃない。と言うより、ヘタ。17時台の初めと終わりにエントリーしているが、最も獲れた時間帯は17時台中盤。そこをキレイに回避している。まったく、遠慮深いな。3 はこの日の指標発表後のトレード。短期線に支えられて12500円台まで引っ張ることができた。ところが価格はこの後下げに転じ、下げ道中でナンピンを繰返すハメに。このナンピン買玉はまだ持っている。決済したらまた記事に上げます。

4,5 と、下記の4回のトレードを全て売から入っているのは、下げ道中で買玉を抱えたまま両建てを繰返している、と言うこと(カッコ悪い!)。ちなみにこのブログを書いているのは07/22  13:45  だが、もう高値から500円以上下落している。そろそろ価格が底に当たる音が聞こえてくると思うのだが。

 

07/19決済分

1   07/18  21:41  12438.0S  →  07/18  22:13  12427.0B     +   11.0 ×3

2   07/19  02:07  12437.0S  →  07/19  02:25  12431.5B     +     5.5 ×2

3   07/19  02:07  12436.5S  →  07/19  02:25  12431.5B     +     5.0 ×1

4   07/19  02:07  12436.0S  →  07/19  02:25  12431.5B     +     4.5 ×1

別に書くことは何もない。売るなら売るで、もう少しマシな取引が出来ないものか。

 

『ある行旅死亡人の物語』(武田惇志 伊藤亜衣 著 毎日新聞出版 刊)読了

一気に読んだ。が、これには訳がある。図書館で借りたのだが、返却日が16日だったのだ。この日のうちに読んで、早急に「読後感・書評」としてアップし、17日の相場に影響しないよう、早めに(と言っても既に1日遅れだが)返却しなければ。

 

社労士の受験講師をしていたとき、法改正項目をチェックするため、官報にはよく目を通していた。なので、本書のタイトルにある「行旅死亡人」について記載した欄の存在も知っていたし、(社労士受験とは無関係だが)よく読んでもいた。

 

簡単に言うと、行き倒れなど、身元が判明しない死者のことで、発見時の状況や所持品などを官報に掲載し、引取り手が現れるのを待つわけだ。著者の一人である共同通信大阪社会部記者の武田は、記事のネタ探しのために「行旅死亡人データベース」を見ていて、偶然、ある高齢女性の死亡記事を見つける。そこにはその女性の死亡当時の状況と、ある身体的特徴、それに所持金(3400万円!)が記載されていた。

 

本書は二部構成。Ⅰはこの女性の身元が判明するまで、Ⅱでは判明した女性の過去を、記者二人が遡っていく過程が描かれる。最後まで読んでも、女性についての謎の全てが解き明かされるわけではない。しかし、ある程度読み進むと、表紙のイラストに後ろ向きに描かれた女性が見ている光景や、彼女が何故、後ろ手に組んだ左手でぬいぐるみを掴んでいるのか、またそのぬいぐるみの意味が分かる。

 

誰もが持っているであろう、人の人生の重みと価値を感じることができる作品。読んだ本に順位をつけることなどしたくないが、ひょっとしたら、今年最大の収穫になるかも知れない。

05/20~07/12 大阪金ミニ先物 +1635.5円(07/08:914円 /10:328円 /11:182.5円 /12:211円) 

ここ最近のトレードを、やっとブログにまとめることができた。

その日の流れをとらえて、持越しせずにデイトレで決済するトレードが理想だが、現実には逆行に耐え、ナンピンを重ねたトレードの方が利益が大きくなることが多い。今回もそんなトレードが、、、。

ま、トレードのカタチはともかく、取り敢えず、利益を積み増すことは出来たので、良かった。

 

07/08決済分

1   05/20  18:18  12262.0B  →  07/05  21:44  12284.0S     +   22.0 ×2

2   05/20  18:22  12251.5B  →  07/05  21:44  12284.0S     +   32.5 ×2

3   05/20  19:27  12239.0B  →  07/05  21:44  12284.0S     +   45.0 ×2

4   05/22  22:38  12130.5B  →  07/05  21:44  12284.0S     + 153.5 ×2

5   05/22  23:11  12089.0B  →  07/05  21:44  12284.0S     + 195.0 ×2

6   07/06  00:17  12355.0B  →  07/06  01:34  12364.0S     +     9.0 ×2

今月前半は帰省(07/08~10)して人に会う約束があり、更にその前は会社で人が足りずに出勤。結構忙しかった。ブログも、定期的に読んでいる人のは読ませてもらっていたが、自分の更新は滞ってしまった。でも、トレード検証をあまりためてしまうと良くないからな。

この日の利食いで、それまでの持越し玉を全て決済できた。06/22の記事に書いたが、下げ道中で結構ナンピンした。最大ドローダウンは、枚数が増えたので致し方ないが、100万を超えた。しかし、6月前半の最悪期にも11500円は割れずに、同月中旬以降、出直りが鮮明となって来た。そこで取り敢えず建玉を軽くするため、前記06/22記事のように、下値で買った玉をまず利食った。上記はその時に残したもので、高値で掴んでしまったものだ。この間、五番限に移行して出来高も減少したが、思惑通り(強い動きではなかったが)日足MAに乗って上昇し、利食いを果たすことができた。

上記6は、5までの因果玉から解放された後の肩慣らし。いきなり大きな建玉をして、フルボッコされたんじゃかなわんからな。

 

07/10決済分

1   07/09  19:55  12272.0B  →  07/09  22:24  12276.0S     +     4.0 ×2

2   07/09  21:22  12250.0S  →  07/09  21:46  12248.0B     +     2.0 ×2

3   07/09  22:02  12262.0B  →  07/09  22:24  12276.0S     +   14.0 ×2

4   07/10  00:01  12253.0S  →  07/10  00:12  12249.0B     +     4.0 ×2

5   07/10  00:03  12262.0S  →  07/10  00:12  12249.0B     +   13.0 ×2

6   07/09  23:09  12258.0B  →  07/10  03:26  12293.0S     +   35.0 ×2

7   07/09  23:10  12257.0B  →  07/10  03:27  12293.0S     +   36.0 ×2

8   07/09  23:00  12288.0B  →  07/10  03:28  12293.0S     +     5.0 ×2

9   07/10  00:15  12242.0B  →  07/10  03:28  12293.0S     +   51.0 ×2

上記は全て、帰省していたときに行ったデイトレ。日足を見ると7月前半は、上下の短いコマのような陽線が連続している。経験上、こういう時は下方向へのダマシは少ない。今回は幸運にも、短期的なこの流れに乗ることができた。

 

07/11決済分

1   07/10  20:38  12363.5B  →  07/10  20:47  12371.75S   +     8.25 ×2

2   07/10  20:12  12376.5B  →  07/10  22:47  12403.5S     +   27.0 ×2

3   07/10  22:05  12364.5B  →  07/10  22:47  12403.5S     +   39.0 ×2

4   07/11  09:52  12364.0B  →  07/11  10:08  12373.5S     +     9.5 ×2

5   07/11  10:19  12373.0B  →  07/11  10:35  12380.5S     +     7.5 ×2

ここは帰宅してから、いつものPCで。1~3は10日の欧米時間帯、4,5は11日の日本時間帯。ともに割と素直な上げ相場。でも、その割には獲れていない。特に4,5については、10時半に仕切った後、5分足チャートでは約3時間にわたって、上下の短い陽線が、適度に陰線を挟みながら続いているが、ここを獲れなかった。多分、朝のトレードは10時台まででほぼ終了、という固定観念があったんだと思う。そういうのを拭い去るのはなかなか難しいが、思い切ってトライしてみるべきだった(こんなことは何度も書いたような気がするが)。

 

07/12決済分

1   07/11  19:40  12400.0S  →  07/11  20:48  12398.0B     +     2.0 ×1

2   07/11  19:40  12400.0S  →  07/11  20:50  12399.0B     +     1.0 ×1

3   07/11  16:45  12388.5B  →  07/11  21:35  12445.5S     +   57.0 ×2

4   07/11  16:37  12398.5B  →  07/11  21:35  12445.5S     +   47.0 ×2

上記時刻でわかるように、仕掛けたのは3,4(買い)の方が先。長期線にも接近していたし、短期的な下げを拾う感覚だった。ところが、思ったような上昇はなく、21時半の米CPIまで引っ張ることになってしまった。CPI発表を受け、初動は上で反応。とにかく急激な上げで、21:35にはボリンジャーの+3σに到達してしまったので、迷わず仕切った。こんな急上昇がいつまでも続くはずはないからな。案の定、21:40からの5分足で陰線が出現。今考えると、この時点で当局の円買い介入が始まったと思う。短時間で急激な長大陰線を示現。この5分足1本の高安が150円以上! という凄まじさだ。買玉を仕切っていて本当にラッキーだった。逆に売玉は、値動きを元々買い目線で見ていたため、早々に仕切ってしまった(上記1,2)。

こういう指標発表絡みの介入は、今まであっただろうか? 思い浮かばない(あったのかも知れないが)。神田財務官絡みでは、本欄にも書いたが、昨年、ろうばい売りで損失を計上した以外は、苦しみながらも切り抜けてきている。退任されるようだが次の財務官もこんな感じの人なら困るな。大体、介入によってファンダメンタルズが転換することは無い。一時しのぎにしかならないと思うのだが。

 

ところで、会社にやっと新人が入った。60歳代前半だが、警備員の世界では間違いなく若手である。僕も入社してから気付いたのだが、社員には、仕事をなるべくたくさん入れてくれ、と申出る人と、ほどほどにしといてくれ、という二種類がいる。僕や、よく相方となるTさんは間違いなく後者。これに対し前者に属する人は、経済的事情の人もいるようだが、僕のコーチをしてくれたFさんのように、充分な年金をもらっているが「家にいるよりは」と言う理由で入る人もいる。こんど入った人は、理由はよくわからないが前者のようだ。と言うことで、順当なら僕の勤務日数は、入社当初の週3勤務に戻ると思う(多分)。チャートに向き合う時間も、今までよりは取れそうだ。ま、大半が思い付きの範疇だろうが、試してみたいこともあるので、これから少しずつやってみたい。

エマーソン、その後。そしてウェイクマン。

前回の記事を書いた後、本書に関連して、他にも書きたいことがあったのを思い出した。上手くまとめようとしているわけではないが、何となく「書き足りなさ感」が自分の中にあったのだ。

それはリック・ウェイクマンとの出会いを書いたところだ(P276)。『メロディー・メーカー』誌の表紙に載ったウェイクマンの写真のキャプションに「キース・エマーソンもこの男の演奏を聴きに足を運んだ」とあったが、エマーソン自身にはそのような意識はなく、ウェイクマンの演奏を聴いてはいなかった。つまりこのキャプションは、エマーソンに数年遅れてデビューしたウェイクマンに注目を集めさせるための仕掛けだったようなのだ。ウェイクマンはそれに対する謝罪をエマーソンにするために、いきなり会いに来た、言う訳だ。エマーソンはちょっとびっくりし、そこで「あなたは上手なの?」と質問した、とある。

両者はプログレ界の2大キーボーディストだ。その最初の出会いがこの時なんだろうな。ウェイクマンはその質問を笑い飛ばし、一緒にビールを飲まない? と誘ったようだ。でも、始まりがこんな感じだったせいか、エマーソンはウェイクマンのことを「しばらくの間、あまり信用できなかった」と書いている。

 

ところで、僕は、この二人の中では、ウェイクマンを先に聴き込むことになった。と言うのは、彼はエマーソンと異なり、メロトロンも多用していたからだ。最初に聴いたのは多分、ボウイの『スペース・オディティ』でのメロトロンプレイだと思う。素晴らしかった。その後、イエス全盛期の『こわれもの』『危機』で、ウェイクマンのプレイを堪能した。

エマーソンはライブを観ていないが、ウェイクマンは2度、来日公演に足を運んだ。最初は、イエス脱退直後の『地底探検』ツアー。確か1975年頃だったと思う(そのとき買ったパンフがどこかにあるはず)。期待をしていたのだが、この時期はイエスのレコードをよく聴いていたせいか「何となく、バンドとしての演奏の方が良いかな」などと思ったものだ。2度目はABWH(アンダーソン・ブラッフォード・ウェイクマン・ハウ)としての来日時(1990年)。メンバーからしても実質的にはイエスの来日なのだが、バンドの命名権を持っていたのが不参加のクリス・スクワイアだったので、イエスの名は使えず、メンバーの頭文字を合わせたものになった。この時は「イエス」ミュージックを堪能できたのだが、名曲「危機」のエンディングのところ(そう、あの最高に盛り上がるところ)で、突如、僕の頭の中に、ある女性のイメージが浮かび上がってきたのだ。その女性とは、当時の職場で上手く行っていなかった、僕の先輩であり上司でもある人だ。まったく、何で! と言う感じだった。僕は必死で振り払おうとしたが、アタマの中のイメージなので、振り払えるはずもない。結局、この曲が終わるまで、僕のアタマの中のそのイメージは消えなかった。

数年後、社労士試験に合格した僕は、登録のための実務経験を証明してもらいに当時の勤務先を訪れた。その時、その人に挨拶したと思うが、はっきり覚えていない。この時から数えても、もう31年経過している。今でも「危機」を聴くと、90年の公演で不意に浮かび上がって来たこの人のイメージを思い出す。だけど、今ではもう、それを振り払おうとまでは思わないな。