多くの書店で平積みになっていた話題の本。昨日も書いたが自分の相場は現在、動くのを待っている状態なので、昨日今日でこの爺さんの著書を読んだ。株式トレードの本で、商品先物ではないのだが、テクニカルや資金管理など重なる部分も多い。一気に読めたね。
まず、87歳で現役、というのが凄い。個人的には、90歳までFXを取引していた女性トレーダー(残念ながらもう亡くなられた)を知ってはいたが、年齢的にはその人の次くらいに高齢だ。でも、表に出てこないだけで、高齢トレーダーは結構いるのではないか、と読後に思った。
冒頭に著者の一日のスケジュール表が載っている。何と、2時に起床、20時に就寝。その間ほぼ、相場づけの生活だ。
Part 1 では、著者の生い立ちからバブルの生成とその崩壊、ネット取引との出会いまで。ペットショップ勤務時代に株を知り、その後、雀荘の経営で成功、この雀荘を売り、専業投資家になったのが1986年。バブルの前夜だ。バブルの波に乗って資産を10億まで増やしたが、崩壊でそれが2億に減ったと書いてある(P41~)。しかし「2億もあれば仕事をしなくても生活できる」と書いてある通り、奥さんと旅行したり、とても資産を激減させた人とは思えない行動をするのだ(P43)。この辺のメンタルの強さはトレードには必須なんだろうな。
Part 2 では、著者のトレードづけの一日が、詳細に紹介される。特にP104以降では「全部見せます! ある日の取引」として、銘柄・株数・損益が一覧で示される(この日の実現益は47万円超!)。更に、使っている証券会社とパソコンの詳細が明かされるが、スマホを持っていないのには驚いた。
Part 3 では、著者独自の売買ルール(P136~)、よく使うテクニカルの解説(P155~)が書いてあるが、後者については特殊なことは何も書いてない。RSIなど、特徴的な使い方をしているのか、と思っていたが、全然普通である。ということは、この人は売買センスが良いのだろうな、などと考えてしまった。
Part 4 では、株式売買について、心理面・技術面から考察している(P200~)。「見せ板」や「IPOセカンダリー」などの話も出てくるので、今現在トレードしている人向けのところかもな。
Part 5 では、健康面も含めた本人の日常が書かれている。ここで、02年に著者が関西のローカルテレビに出演したとき、ある学者に「不労所得で儲けようとせずに、ちゃんと働け」と言われた話が出てくる。あるあるだね、この手の話は。それでいて日本人は、ウォーレン・バフェットの話には無批判に飛びつく。欧米の投資家が日常的に利用している先物市場やローソク足が日本人の発案であることも知らずに(多くの日本人は未だに知らないだろう。教育の機会もほとんどないしな)。
ところで、本書には「コラム」が幾つか挿入されているが、「ラルフ・ビンスの実験」がP200に出てくる。このエピソードは僕もどこかで読んだことがあるが、著者も知っていたのだ。いや~、勉強してる、負けられないな~。
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