定着しそうな感がある。今日、ネットのニュースで日産のゴーン社長が「自動車業界のコンセンサスは1ドル100円」という意味の発言をしていたのを読んだ。ドル円の適正レートがどれくらいか、というのは、人それぞれ感じ方が異なるので、決め付けることは難しい。そこで、専門家はよく「購買力平価」という考え方を使って説明しようとする。「現在のドル円は、95年の円高時と比較すると、購買力平価でまだ20%円安の水準である。したがって現状の為替の水準は必ずしも円高とは言えない」という説明を読んだ人も多いだろう。僕が購読している「銀座なみきFP事務所」のメルマガにこのことについて面白い記事が載っていた。つまりこうだ。
識者は良く今回の円高を、95年の円高時と比較して、購買力平価から見て決して円高とは言えない、と説明するのだが、この場合の基準にした95年の円高局面(1ドル79円75銭)が購買力平価で見て適正な水準だったのであろうか、という疑問が残る。メルマガの筆者は「国際通貨研究所」の資料などを使って、当時の水準そのものが既に異常な円高水準であることを証明しているのだ。そしてこの異常な水準を使って現在のレートを比較して割安、と言っても説得力がないことを説明している。ちなみに適正レートは、ゴーン社長発言にあった100円程度、ということである。政府は今回の円高は異常だ、とよく言うが、このメルマガのように、なぜ異常なのか、また適正水準はどの程度なのか、ということを国民にきちんと説明すべきだ。「為替水準には言及しない」などと他人事のようにしている状況ではないだろう。
ところで名古屋ではこれから台風の直撃で明日の日中にかけて大荒れである。こういう時は早く仕事を切り上げて、自宅でゆっくり映画でも観るに限る。今日はBSで「フォーンブース」をやる。ほぼ電話ボックスだけを舞台に良くこれだけ面白い映画が作れたものだ。同じ局で先日「泥の河」をやっていたので観た人もいるかな。この作品が傑作であることを疑う人はいない。ただ、主人公の少年を取り巻く大人の描き方が、ちょっと形式的な感じがするが、、、。しかしこの小栗康平という監督、この作品でデビューして以降、30年間で作った作品は6本くらいである。寡作、という点ではタルコフスキーみたいである。また、その数少ない監督作品のほとんどが国際的に高い評価を得ている点もタルコフスキーに似ている。「泥の河」もこの年の米国アカデミー外国語映画賞の候補作になっている。受賞は残念ながら逸したが、アカデミー会員はこの作品の良さをきちんと理解してくれていたわけだ。でも、小栗作品で一番凄まじいのは「死の棘」。松坂慶子が凄すぎる。