新聞などで「今年の物故者」というような記事がよく出ます。今年は僕もよく本を読まんだ、あるいは映画を観た、そういう人たちが特に年の後半に亡くなりました。
一人目は徳大寺有恒さん。昭和52〜3年頃だったと思います。『間違いだらけのクルマ選び』の続編(だったと思う)のサイン会が、神田の三省堂本店であったので、行ってみると、お客さんが一人もいません。入口の奥に徳大寺さんが手持ち無沙汰に座っていました。僕は購入した本にサインをもらい、少しの間ですが、徳大寺さんと話をしていました。話題は当時発売されたばかりのホンダのシティについてだったと思います。「背が高く、若い人が乗るにはいいよ」とおっしゃていましたが、話が終わって僕が帰る時まで他に一人もお客さんがこなかったことを記憶しています。当時、同氏の本は今以上に売れていたと思うので、たまたま僕が行った時間帯のせいだったのでしょう。以来、『ベストカー』誌上の徳大寺さんんの記事はよく読んでいましたが、自分では運転しなくなりましたので、ほとんどがカタログマニアとして読んでいた、という感じです。昨日、床屋さんで同誌を読んだら、徳大寺さんの追悼特集になっていました。もうこの人の新たな評論を読むことができないと思うと、残念です。
二人目は高倉健さん。僕はこの人の映画を、記憶している限りでは3本しか見ていません。『悪魔の手毬唄』『八甲田山』『新幹線大爆破』です。200本以上に出演している割に見ている映画が少ないのは、僕が今まで見てきた映画の指向性が、高倉さんの多くの出演作と異なっていたからだと思います。しかし『新幹線大爆破』は話が別です。公開は昭和50年。オイルショック後の暗い時代の、暗い映画でしたが、僕は大好きですね。共演は山本圭。この人も暗い。
三人目は、ジョニー大倉さん。この人の出演作で僕が観ているのは立松和平の代表作を映画化した『遠雷』だけです。この作品での破滅的なキャラは強く印象に残っています。最も当時は石田えりさんを見に行っただけでしたが。
最後は、菅原文太さん。この人の作品では『トラック野郎』シリーズと『太陽を盗んだ男』を観ています。昔のヤクザ映画は観ていません。トラック野郎はシリーズ化されましたが、その中の1本を、確か五反田の東映で観た記憶があります。しかしこれ1本で、何で観たのか理由が思い当たりません。併映作品が『多羅尾伴内・鬼面村の惨劇』だったからか(これも確信が持てない)。『太陽を〜』では沢田研二演じる高校教師と対決する刑事役でしたが、ゾンビみたいに描かれていたので、思わず笑ってしまいました。でも、3.11を経験してしまったので、以前と同じような感覚でこの作品を観ることは、もう出来ないかも知れませんね。ところで菅原さんは、ご高齢になってからの方が若い頃よりも断然カッコ良かったと思いませんか。