1931年に生まれた著者が、大学生活を始めるために、生まれ育った福岡を出て上京するまでの10数年間の思い出を綴ったエッセイ。
目次の後に、UCカード会員宛に送付される会員誌に連載されたものに、健さんの遺稿を加えた旨が記載されている。多分、ゴールドカード会員向けのものだろう。以前、友人から、ゴールドカードを持っていると、出張や旅行などで、不慮のアクシデントに遭遇したときに、心強い、と言う話を聞いたことがある。僕のもとにも何度か入会案内通知が来たが、必要性を感じなかったので手続きしなかった。会費も1万円位かかったと思う。でも、こういう作品を読めるのなら、ゴールドも良いな、と思ってしまう。
僕は健さんの熱烈なファン、と言う訳ではないことは前にも書いた。観た作品の数も少ない。しかしその中でも、実直で誠実な人柄が伝わってくるものが多かった。最も好きな作品である「新幹線大爆破」での健さんは、悪役ではあるが、仲間に対する誠実な態度が印象に残る。
駄菓子屋、家族、初恋の先生、兄、軍事教練、駐留軍、異国へのあこがれ、と言ったことが書かれている。特に、駐留軍司令官の息子、シュルツ君との交流は、その場面が目に見えるようだ。
一つのエピソードに、一つの画が挿入されているが、これがまた良い。特に駄菓子屋のところ(P15)の人物描写には、感心し、笑ってしまった。