Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

社労士試験、投機関連(大阪金先物が中心)その他諸々。このブログのトレードに関する箇所は、僕の勝手な相場観を書いています。価格も僕の予測に過ぎません。内容の正確さに最善は尽くしていますが、一切の責任を負うものではありません。売買は必ずご自分の判断で行って下さい。また、記事中で氏名の敬称は原則として省略しています。ご了承ください。

本日9時から、BS

プレミアムで「青春放課後」というドラマが放送されました。制作は1963年。小津安二郎が里見惇とともに書き下ろした初のテレビドラマ用脚本、ということでした。小津監督はこの年に急逝しているので、これが最後の作品と言って良いと思います。映画での遺作は1962年の「秋刀魚の味」ですが、当時普及しつつあったテレビ用の脚本ということもあり、わずか1年の違いですが、この両作品には、時代の微妙な移り変わりが投影されているように感じます。
それにしても、黒澤明木下恵介は80歳台まで生きて活躍していました。日本の社会は、小津監督の死後、急激に変貌していきます。核家族化、少子高齢化、非婚化、晩婚化、女性の社会進出、都市への人口集中、貧困と格差拡大等々。小津作品がこれらの事象にどう対峙していくのかを観てみたかった、と思う人は多いでしょう。もちろん、僕もその一人ですが、反面、あの時代の日本で作られたからこそ、小津作品は普遍的たり得た、という気持ちもあります。微妙ですが、、、やはりもっと生きて、作品を作って欲しかった。
世界の映画専門誌は、時々、世界映画史上のオールタイムベスト10、的なイヴェントをやりますが、直近の最も権威のあるベスト10は、英国の「サイト&サウンド」誌のベスト10だと思います(2012年)。世界の主な映画監督358人が投票で選んだこのベスト10で、小津監督の「東京物語」が1位になりました。この映画は一般的に「家族の絆の静かな崩壊」という感じで紹介されることが多いですが、僕は、主人公・紀子の中に、その先にある希望、救い、といったものを見出します。こういう主題は、きっと、国や時代で大きく価値観が異なるものではないのでしょうね。