拘束されていた安田純平氏が解放されました。3年4か月ぶりだそうです。解放には、当事国や組織の複雑な力関係が働いていたようです。ネット上では予想通り、自己責任論に基づくバッシングの嵐になっていますが、主要紙の論調は冷静なものが目立ちます。
ただ、個人的には、NHKなどの国内メディアの国際報道は、欧米主要国に比べて迫力が全然なく、面白くありません。中東の内戦の取材でも、我が国のように、隣国からの映像に載せたナレーションで「あそこに爆弾が落ちました。煙が上がっています」と言われても、今一つ臨場感がない。BBCなどは、兵士の車に同乗して、まさに従軍取材の様相です(それだけに、外国メディアでは、犠牲になるジャーナリストもより多いのですが)。日本政府が渡航制限を出している国もあるでしょうが、より一層迫真に迫った、臨場感のある記事や動画を得るには、それを踏まえたとしても、記者個々人の、行動するか否かの判断が重要になります。
こういうジャーナリストの取材からもたらされる情報は、時には当人の政治的立場を超えて、政府や国際活動をしている民間機関の行動にも影響を与えます。安田氏は、拘束された時に仕事道具を全て取り上げられたらしいですが、出来れば今回のことをきちんと作品にまとめ、公共放送とは別角度からの、生々しい紛争地域の実体を伝えて欲しい。今回、身代金が動いたかどうかははっきりしませんが、ネット上では、もしカネが動いたのならば、それは税金だから、きっちりと本人が返すべき、という論調もあります。こういう考え方も分からなくはないが、危険地帯に承知で入って行ったのであれば、途中で拉致られようが、事の顛末をきちんと作品にまとめて発表して欲しい。そうでないと、自分の仕事を完遂したことにならないと思うのです。
一瞬バッシングが吹き荒れ、暫くすると静まって、名前も思い出せない、というようなことの繰返しでは、もったいないですからね。