Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

社労士試験、投機関連(大阪金先物が中心)その他諸々。このブログのトレードに関する箇所は、僕の勝手な相場観を書いています。価格も僕の予測に過ぎません。内容の正確さに最善は尽くしていますが、一切の責任を負うものではありません。売買は必ずご自分の判断で行って下さい。また、記事中で氏名の敬称は原則として省略しています。ご了承ください。

『不道徳ロック講座』(神舘和典 著 新潮新書)読了

本書の帯には「不倫で自粛なんか、するわけないだろ!」という文字が際立つ。僕は本書を例によって図書館で借りたが、その貸出本では、帯は取除かれていた。帯に書いてある内容によって扱いが変わるわけではないだろうが、この惹句は、本書の内容を一言で表している。

ロックを聴き始めた中学生の頃、音楽雑誌で、来日したロックバンド(たぶん、ツェッペリンだったと思う)のメンバーが、滞在しているホテルの備品を壊した、とかいう記事を読んだことがある。細部まで覚えているわけではないが、やったことの割には寛容な書き方だった。その理由は彼らが「外国からのお客さん」だったからか、それとも、ロックスターだったからか、よくわからない。時代の雰囲気、ということもあったかも知れない。著者も「はじめに」に書いているように、今、日本人アーティストが同じことをしたら「一発退場」間違いなし(P4)という話が本書では随所に出てくる。

 

本書は「不道徳」の中身を「性・薬・酒・貧乏」の4つに分類し、主にアーティストの自伝やインタヴューから得た情報をもとに、彼ら彼女らの行状を綴っている、と言っても悪行をあげつらって叩くのが目的の本ではない。ビートルズストーンズ、クラプトンら、多くのアーティストが登場するが、彼らが「おかしな人たち(P5)」であるからこそ、我々は数々の名曲を楽しめるのだ。彼らの存在しない世界など、何と味気ないことか。

「性」では、何を置いてもまず、ミック・ジャガー。本書ではミックを「性豪(P12)」と呼んでいる。浮気相手は4,000人以上(どうやって数えたんだ???)。同性とも関係(この中にはボウイやクラプトンもいる)。そういえば昔、僕の従兄弟が買った『山羊の頭のスープ』というアルバムに「悲しみのアンジー」という曲があった。この曲は、デビッド・ボウイの妻、アンジーにミックがささげた曲だ、という説明が付けられていたが、よく考えると、何でミックは他人の妻のことを歌ったんだ? という疑問が湧く。でも本書を読めばその答えが書いてある。もう手当たり次第なのだ。前記のようにミックはボウイ本人とも関係していた。筆者はこれを評し「平和的正三角関係(P28)」と呼んでいる。

以降本書から、ロックスターの信じられない言動をあげてみる。

ポーラ(パティ・ボイドの妹)に邪な興味を持ったジョージが、クラプトンにパティ(自分の妻だ!)と関係することを勧めた。著者はこれを評して「なかなか問題のある提案(P46)」と書いている。

ルーピーとセックスした結果、性病になって初めて、ロックスターとして認められたようで嬉しかった、というピート・タウンゼントの言葉に筆者は「理解しがたい(P74)」。筆者でなくてもそう思うだろう。

ドラッグをやるとどうなるか、についてジミー・ペイジが書いている(P97)。具体的なことは書かない。本人は恐怖が薄らいでいるからできたのだろうが、読んでいる方は恐怖しか感じない。

1980年にウイングスが来日したとき、ポールはマリファナ所持で9日間拘留された。この間、囚人仲間とすっかり親しくなり、風呂場で「イエスタディ」をアカペラで披露し、囚人たちを感激させた(P142)、とある。世の中に「拘留されたい」と思う人などいないだろうが、このニュースを知ったときは、その場に居合わせたかった、と思ったね。

マドンナ1970年代後半の極貧生活のことも出てくる(P191~)。彼女は1978年7月、ミシガン大学を中退して、単身NYに向かった。所持金は37ドル(当時のレートで7400円くらいだ)。ゴミ箱漁りもしたが、前に進む、という意思は明確だった。ここを読んだとき、ふと、陳満咲杜(ちんまさと)氏のことを思い出した。陳氏は1992年、所持金5000円で来日し、アルバイトをしながら株式投資を開始し、その後、黎明期のFX業界に入った人だ。僕はその昔、陳氏のセミナーに出席して、彼の理論に興味を持ち、セミナー後、「何か参考図書はないか」質問した。これに陳氏は自著を紹介した後「ブックオフなら安く出てるから、そこで買いなさい」と言ってくれた(商売っ気のない人だ)。僕は陳氏の本で、今までと全く異なるRSIの読み方を学習し、その後、収益が安定してきた。

シンディ・ローパーは17歳の時、家を出た。歯ブラシ、下着の替え、リンゴ、そしてヨーコの詩集『グレープフルーツ』を持って(P199)。シンディは人に恵まれなかった。最初のバンドではレイプされ、最初のマネージャーにはギャラを持ち逃げされている(P200)。バイト先の友人に教えてもらい、万引きをするようになり、自己破産申請もしている。その後、ともに暮らすようになったデイヴ・ウルフの紹介でレコード契約し、メジャーデビューした。名曲「タイム・アフター・タイム」はこのようにして誕生したのだ。

 

巻末には各アーティストの自伝を中心とした参考文献が列挙されている。また読みたい本が増えるな。