今年度受験対策の教室講義は全て終了しました。
僕の担当するすべてのクラスでは、最後に社一の対策として基本用語を集めたレジュメを配布していますが、今回は一部のクラスでその説明を忘れて終わってしまいました。基本は読めばわかるのですが、公的保険と社会保険との相違点について、少し説明します。
◎給付・反対給付均等の原則:レジュメでは説明文中、社会保険と私的保険の比較がありますが、具体的には次のように考えればよいでしょう。例えば健康保険では保険料率はほぼ同じなので標準報酬の高低によって保険料額が変わってきます。しかし、同じ病気で保険診療を受けた場合、標準報酬の高低によって給付が激変することはありません(風邪薬をもらう場合、標準報酬が高いからと言って良い薬が出るわけではない)。つまり社会保険の場合、高い保険料を払ったからといって、必ずしも高い給付が受けられるわけではないので、この原則は必ずしも妥当しないことになります。
他の2つの原則(◎保険技術的公平の原則、◎収支相当の原則)についてはレジュメに書いてあるとおりで、さほど難しくはないかと。
それから、これはよく受講生からきかれるのですが、超直前期にやるべきことについて、僕は以下のように考えています。
◎ 直前の2日間程度でテキスト類の「総ざらい」を必ず行ってください。+目的や理念などの条文確認も忘れずに。難解な選択肢が出たとき、目的・理念が解答のヒントになることがあります。
上のメッセージ前半の「総ざらい」についてはこれまで何度か述べてきた。テキストのどこに何が書いてあったか、を確認する作業です。後半の「目的・理念」については2つの意味があります。
第1は、「目的・理念」そのものが出題されたときの対策として。
第2は、学習していない論点が出題されたときにヒントとして。
具体的には、直前対策講座で配布した「横断まとめ」を使うと良いでしょう。この本の第1章に、労働社会保険関連法令の目的条文が整理して載っています。僕の講義ではこの辺は結構詳しく話したはずなので、印象に残っている人も多いのではないか、と思います。
例えば、キーワードと各法の結びつけを行うだけでも、抽象的な目的条文を学習するきっかけとなります(以下のような感じで)。
「国民の共同連帯」→高齢者医療確保法、介護保険法、国民年金法
「安全と健康を確保」 →安衛法
「安全及び衛生の確保」→労災法
「人口構造の変化」→雇用対策法
「就業構造の変化」→パート労働法
「産業構造の変化」→賃確法、確定給付企業年金法
「家庭及び地域を取り巻く環境の変化」→次世代法
高年齢者雇用安定法
「高年齢者」 →安定した「雇用の確保」の促進
「高年齢者等」→「再就職」の促進
「定年退職者その他の高年齢退職者」→「就業の機会の確保」
と、こんな感じです。本試験までもう少し。頑張ってください。