労働契約に付された期間を「試用期間」と見るか「雇用期間」と見るかについて争われた事案(神戸弘陵学園事件)。契約期間を1年とする常勤講師として採用された労働者が、1年の契約期間満了によって解雇されたことに関し、教諭としての地位確認を求めた事例です。1審、2審共に労働者側の請求が棄却され、労働者側が上告していたものです。
最高裁は、期間を設けた目的が労働者の適性を評価・判断するためのものであるときは、特段の事情があるときを除き、当該期間は契約の存続期間ではなく試用期間と解されるとしています。
日本の一般的な企業では、試用期間と本採用後の勤務内容や労働条件に大きな差異があることは稀です。僕の経験でもそうですが、大体が自動的に本採用されます。最高裁も、試用期間付雇用契約の法的性質について「解約権留保付雇用契約」であるとしています。そして、本件が「解約権留保付雇用契約」における解約権の行使が許される場合に当るか否かについて、原審では充分審理が尽くされていないとした上で、労働者側の請求を棄却した原判決を破棄し、差戻しとなりました。