Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

社労士試験、投機関連(大阪金先物が中心)その他諸々。このブログのトレードに関する箇所は、僕の勝手な相場観を書いています。価格も僕の予測に過ぎません。内容の正確さに最善は尽くしていますが、一切の責任を負うものではありません。売買は必ずご自分の判断で行って下さい。また、記事中で氏名の敬称は原則として省略しています。ご了承ください。

『退職代行』(小澤亜季子著 SB新書)読了。

そう言えばこのニュース、以前「クローズアップ現代+」で放送していたな、と思いながら読んだ。著者は弁護士兼社労士。2019年10月の発刊で、コロナ真っただ中の現在とは状況は異なるが、おそらく、コロナ禍が過ぎ去れば、再び本書にあるような退職をめぐるゴタゴタが再現されるのは明らかだろう。

昔よりは大分変って来たとは思うが、自分に退職の自由があることを認識していない労働者もいるのだろう(有期雇用の場合はちょっと異なるが)。そのためか、本書の最初には民放627条1項が出てくる。2週間の期間を置けば、いつでも労働契約の解約が可能、というあれだ。

著者は弟を突然死で亡くしている。業務との関連性は定かではないが、死後に弟のスマホを見た著者は、弟が「仕事 辞めたい」「仕事 辞め方」などで検索しているのを知る。著者がこの仕事に注力しているのも、弟の死が大きく影響している。

本書発行直後にコロナ禍に見舞われたわけだが、いつかはこの禍から解放される時が来る。その時は、本書にあるような事態がまた到来する可能性は高い。いや、現在のコロナ過であっても、業種・職種によっては、辞めたいのに辞められない人はいるし、そもそも、「辞めたい」と言い出せない人も多い。そして、こういう人こそ、真面目であるがゆえにメンタルをやられてしまい、仕事や人間関係をこじらせてしまうこともある。

著者のような専門家の出る幕はこんなところにあるようだ。費用は高いが(65000円程度、本文中にある)、非弁業者(費用は30000円程度のところが多いらしい)にいい加減な対応をされるより、よほど良いだろう。また、非弁業者による退職代行で失敗した顧客には、費用を割り引いて対応している(P157)。著者はこういう商売人的なセンスも持っている。

本書は社労士も勉強になると思う。「辞めます」といえない人の様々な類型が出てくるので、そのような社員に対する対応の仕方を知る上でも勉強になる。さらに、そのような状況を作り出す会社の在りようを知ることもできる(無茶苦茶な労働条件や、ブラックな企業が多い)。異業種交流などで、他の士業と組むことを考えている社労士もいるだろうが、弁護士と組んでこの分野に挑戦するのは興味深い選択だ(著者のような兼業者は少ないだろうし、何より、弁護士には労働・社会保険の細かい手続きには疎い人も多い)。

仕事に問題を抱えたり、追い詰められたりしている人は、とかく視野が狭くなりがちだ。辛い会社にいても時間の無駄。社労士なら、その辺りに問題を抱えた労働者を楽にしてあげられると思う。会社側と対決することになるので、社労士にも覚悟は必要だろうが。