昨年の2月頃に、渋谷でソール・ライターという米国の写真家の個展をやっていた。僕はこの催しを「日曜美術館(日美)」と言う番組で知ったのだが、この時は日程が合わず、行けなかった。もう見ることはできないな、と諦めていたが、ちょうど、日美の再放送があり、そこで、この個展が京都に巡回しているのを知ったのだ。
更に、11日まで、ソールのドキュメンタリー映画も近傍で上映していたので、個展と共に見るならこの週しかなかったのだ。この映画のタイトルがまたいい。『急がない人生で見つけた13のこと』。何につけスピード、効率優先の現代社会から距離を置き、自分の主義を貫く。これをソールは「効率性の首都」NYで行っている、というのもまた痛快だ。いや、これを許すのもまた、NYの懐の深さと言うべきか。
僕が身を置いている相場の世界、士業の世界でも目立つことを良しとする人はたくさんいる。いや、僕もその一人だった、と言うべきか。でも、今回、ソールを経験して、何か今までとは違った感覚がこみ上げてきた。
恐らく、ソールのストリート・スナップに興味を持ったのも、去年、講義の仕事を辞めたことが引金になったのかも知れないな。