と言っても、この本を読んだのは、これで数回目。読む場所も決まっている。全体ではない。
「億トレ」というのは、億を稼ぐトレーダーのこと。「Ⅲ」というのは、そういう人にインタビューをした第3弾ということだ。
ちなみに、億を稼ごうが稼ぐまいが、他のトレーダーにはあまり興味はない。トレードは孤独な作業であり、他人と繋がって意思決定を行う訳でもない。だから、オレはオレ、という感じ。じゃ、なぜ本書を読んだか、というと、著者である林知之氏が、父親である林輝太郎氏をインタビューしているからだ。読んだ箇所はここだけ。
輝太郎氏は1926年生れ、僕の親父は1927年生れなので、ほぼ同年代である。親父はよく戦争の話をしていた。同時に、進駐軍の関連施設に一時期勤めていたことや、闇市のことなども。もっと聴いておきたいこともあったが、残念ながら、数年前に他界してしまった。知之氏による輝太郎氏へのインタビューを初めて読んだときは、僕が親父に訊けなかったことを代わって訊いてもらっているような感覚にとらわれたものだった。その感覚は今回も同様だったな。
輝太郎氏の著作は何冊か読んだことはあるが、実は、電話で話したことも一度だけある。ある人の著作について、輝太郎氏の意見を聴きたかったのだ。その時の内容は詳しくは書かないが、会ったこともない僕に対して、その著作者の人となりについて(割と断定的に)こんなに話してくてちゃって良いのか、という感じのことまで話してくれたものだ。
先人の生きた歴史は、何かに記録しておかないと忘れられてしまう。ネット時代の今でも、それは同じだ。特に商品の世界は、株とは比べるべくもないほどマイナーな世界なので、なおさらだ。その生き生きとした時代を、このインタビューによって感じ取ることができるので、この本は僕にとって貴重なのだ。