Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

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『国際ロマンス詐欺被害者実態調査』(新川てるえ 著  太郎次郎社エディタス 刊)読了

副題は「なぜだまされる⁈ 国際ロマンス詐欺のマインドコントロール」。著者の新川は「ストップ! 国際ロマンス詐欺」というサイトの主宰者だ。実は当初、本書を読むつもりはなかった。「国際ロマンス詐欺」についてのルポが出版されてので、そっちを探していた。しかし見つからず、代わりに(と言っては何だが)図書館で見つけたのが本書だ。

 

本書は3章からなる。

Chapter1 「500人の被害者アンケートから見る国際ロマンス詐欺の実体」

Chapter2 「国際ロマンス詐欺のマインドコントロールとは?」

Chapter3 「被害にあわないために注意してほしいこと」

以下、C1を中心に見て行くが、その前に、本書で調査対象になっている「国際ロマンス詐欺」の定義は次のようなものだ。

SNSや出会い系・婚活系アプリなどを介して、他人(主に白人)に成りすました外国人がサイトやアプリのユーザに近づき、恋愛関係・信頼関係を構築したうえで国際送金を通じ、金をだまし取る」というもの。

 

調査回答者の属性

女性が圧倒的。男性もいるにはいるが、女性の1/10以下。年齢層は男女とも35~60歳位が多い。驚いたのは、既婚者が4割以上いたこと。

 

回答者の被害状況

本調査は被害者を金銭被害のあり・なしによって分けている。男女ともに金銭被害なし、という回答者の方が多いが、そうであっても、個人情報を提供してしまったり、金銭では計れない被害を受けている人も多いようだ。

被害金額は、一部の大金送金者がいるため、平均値が400万円を超えているが、送金被害者の半数近くは100万円以下の被害で済んでいる(とはいっても大金だ)。

詐欺師との交際期間は、1か月以内~2年と幅広いが、交際期間が半年を超えると、確実に金銭被害を受けている。

詐欺師が自称する職業は、軍人・軍医が多い(男性狙いの場合は、看護師・女性兵士など)。つまり、詐欺師はシリアやアフガンなどの戦地にいる設定が多い。身の危険は日本の比ではない戦地で交際相手を探す余裕などないだろ、と外野にいる僕などは思ってしまうが、実際にこういう状況になると、そういう思考には中々至らないようだ。

詐欺に気付いた理由は、金銭要求されたから、とか第三者の忠告を受けて、というのが多い。金の要求に対して疑問を持ったか否か、というのが天国と地獄の分かれ目か。そして、第三者の話を聴く、という行為は自分を冷静に見つめなおす機会でもあったのだろう。こういう人がいるかいないかによっても、結果は変わってくるようだ。

C2では、様々な被害の実例を5つ紹介、C3ではアンケートの自由記述欄に書かれた、被害にあわないために知ってほしいことや注意してほしいこと、更に著者のアドバイスなどが書かれている。

驚いたのは、詐欺と気付いていながら騙されたふりをして付き合っている、という意見(と言うか記述)があったこと。著者も「何とか反省してもらおうと、繋がって働きかけるのは危険」と書いている。詐欺とわかった理由を詐欺師に説明している人もいたが、これも著者は「詐欺師のスキルアップにつながるので、絶対にするな」と書く。そういえば、C2で、ガーナに詐欺師の学校を作って手口を教えるから、メールのバックアップを送ってほしい、と頼まれた被害者がいた。

 

日本の女性は慎重な人が多い、と僕は思っているのだが、相手が白人となると、これほど無防備になってしまうものなのか。読んでいて信じられなかったね。ただ、一つ思ったのは、C2の事例のほとんどが、離婚、子供なし(あるいは別居)の、いわゆるシングルマザーである点。シルバー民主主義のはびこる、30年間停滞の続くこの国にいる状況から救い出してくれる人が現れた、ということで、他のことが見えなくなってしまったのか、と思うと、同じ日本人として、やり切れない思いだ。