書店の投資本の棚を見ていたら、『移動平均線の新しい読み方』(かんき出版)という本が新刊で出ていた。著者2名はいずれも日本テクニカルアナリスト協会の会員である。面白かった。とにかく、移動平均線は奥が深い。
投資をする人なら知っていると思うが、2本の単純移動平均のデッドクロスやゴールデンクロスを待っていたのでは、タイミング的に遅れる。そこで、移動平均を1本にしたり、単純移動平均ではなく、指数平滑や加重移動平均を使ったり、ああでもないこうでもない、といじくりまわす。しかし今ひとつ、この古典的で単純な指標を使うのに二の足を踏んでいた僕に対し、この本は背中を押してくれたかもしれない。少なくとも実戦で移動平均をエントリーやエグジットの積極的理由として使ってみよう、という気にさせてくれる本である。
この本で最も驚いたのが、東京証券取引所におけるアローヘッド導入によるティック回数の激増である。1日あたりの売買高は変わっていないので、取引が小口かつ高頻度になったことを意味する。筆者は、こういうときこそ「ベルケの格言」のごとくテクニカル分析の基本に忠実であれ、と書いている。まったく同感ではあるが、実践するのが難しいんだよ。