Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

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『SHO-TIME 大谷翔平 メジャー120年の歴史を変えた男』(ジェフ・フレッチャー著 タカ大丸訳 徳間書店刊)読了

大谷の野球少年時代から現在(と言っても2021年末までだが)までを追った内幕もの。意外と読み手を選ぶ作品だと思う。大谷のホームランだけを気にする一過性のファンには、全体で360ページを超える本作は、読み進めるのが苦痛になるかも知れない。しかし、この類まれな才能を持ったアスリートを継続的に追っていくのであれば、基礎知識として備えておくべきことが、本編全体に散りばめられている。ただし、筆者はエンゼルス番記者なので内容的には大谷渡米後の記事が中心だ。

渡米前の大谷については、花巻東時代からその一挙手一投足がマスコミ報道されており、日本のファンなら記憶していることも多い。それを基盤に本書を読めば、野球選手・大谷の成長を全体的にとらえることができるだろう。

 

僕も多くの大谷ファンと同様、高校時代から注目してきた。ちなみに、本欄で最初に大谷をとり上げたのはいつ頃か調べてみたら、2013年5月23日、一軍公式戦初登板の日だ。だが、どの局も中継しておらず、がっかりした、と書いている。大谷の現在の活躍は、何と言っても(いきなりMLBではなく)、ファイターズ時代に栗山監督のもとでじっくりと育てられたことが活きていると思う。その記念すべき最初の登板を見ることができなかったのだ。現在の状況とは雲泥の差だな。

 

本書では、ファイターズ入団前後の状況と、その選択が、今となっては最良のものであった、ということが書かれている(1,2章)。そして3章では、今では伝説となった、メジャー各球団による大谷争奪戦が詳述されている。僕はこの時期、社労士の国家試験受験講師の仕事をしていて、労働一般常識の講義(だったと記憶している)で、大企業(MLBの各チーム)の首脳陣を集めて、オレに最も良い条件を出してくれたところに行く何てことが言えるのは、世界中で大谷だけ、と言ったことを覚えている。つまり、メジャー行きを転職活動と捉えるなら、前代未聞の転職活動だったわけだ。

二刀流については、ベーブ・ルースとよく比較(比較されること自体が凄いことなのだが、あまりにもよく比較対象になるので、我々は慣れっこになってしまっている)されるが、筆者はもっと範囲を広げ、ニグロリーグの選手や、MLBでもリック・アンキール、マイケル・ロレンゼンやジャレド・ウォルシュなどと比較して、(ウォルシュの言葉を借りて)大谷をユニコーンと結論付けている(13章)。

 

ただ、僕としてはちょっと残念なことがある。それは大谷渡米後の5年間で、指揮官が既に4人代わっていることだ(ソーシア→オースマス→マッドン→ネビン)。これはつまり、エンゼルスの抱える諸問題の多くが、ここ数年でほとんど解決されていないことを意味する。マッドンには期待したが、成績不振により解任されてしまった。今までのところ、僕はこの解任は、とんでもない愚行だと思っている(22年の出来事なので、本書には直接載ってはいないが)。

それはともかく、今後の大谷、どんな活躍をしてくれるだろうか。楽しみだ。もちろん、今後の年俸にもびっくりするだろうが。