Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

社労士試験、投機関連(大阪金先物が中心)その他諸々。このブログのトレードに関する箇所は、僕の勝手な相場観を書いています。価格も僕の予測に過ぎません。内容の正確さに最善は尽くしていますが、一切の責任を負うものではありません。売買は必ずご自分の判断で行って下さい。また、記事中で氏名の敬称は原則として省略しています。ご了承ください。

『ずっと稼げる ロンドンFX』(松崎美子 著 自由国民社 刊)読了。

副題には「ファンダメンタルズ取引の実践テクニック」とあるように、本書は、ファンダメンタルズ(ファンダ)を軸にしたFXの中長期取引について書いた本だ。僕はFXの人間ではないので、この分野には疎い。著者も、最近まで知らなかった。名を知るようになったのは、昨年、ストックボイスTVを見るようになってからだ。著者はロンドン在住の個人トレーダーだ。日本にいると、米ドルと円との間に影響を及ぼす事象については、様々なニュースが耳に入るが、ユーロ・スイスフラン・ポンドなどの欧州通貨に関連するニュースはあまり深いところまでは伝わってこない。現在、著者はほぼ週1のペースで、WORLD MARKETZ(ストックボイスTVで平日22時から放送されている経済番組)において、キャスターの渡部一実氏が電話でインタビューする形で出演しているが、分かりにくい欧州の政治経済情勢について、丁寧に話してくれるので、助かっている。

本書は2017年7月の発行だ。だから、収録されているトピックも、ブレグジットやトランプ政権の話など、現時点から見ると、当たり前だがすべて過去の話だ。でも、ことの顛末を知っているだけに、分かり易く読めた感もある。内容を章ごとに順を追って紹介すると、、、。

0 著者の生い立ちが簡単に書いてあるが、良い意味で普通じゃないね。1章以下を読みたい、という意欲がぐっと湧いてきた。

1 どの通貨で、いつ取引するか(スキャル・デイトレ・スゥイング・ポジションテイカー各々のトレードスタイルの解説。主要市場(ロンドン・NY等)の取引時間帯と特徴。水星逆行、満月、ゴトー日といったアノマリー、通貨ペアのメジャーとマイナー)。

2 中銀の金融政策(伝統的・非伝統的)。各国中銀(ECB・BOEFRBSNBスイス国立銀行・BOJ日銀、等)の政策決定の特徴(分かり易い図表あり)。

3 6つの市場テーマ(トランプ政権、欧州のポピュリズム政党、ブレグジット、日本の出口戦略、トルコの政治リスク等、本書執筆時のトピックが主だが、ご覧のようにこれらの見出しには現在でもテーマとなるものもある)。

4 トレードに効く6大ツール(ニュースヘッドライン、売り材料と買い材料を「通貨の天秤」にかける、実効為替レート、長期MA、CFTC建玉明細(IMMポジション)、べガストンネル等)。

5 ファンダ取引で守るべき体験的7原則(ロスカット、資金管理、利益確定方法、増し玉、FX仲間を作る、著者の一日)。

6 日本人のための通貨ペア別取引戦略(リスクオフの円買い、通貨の天秤)。

以上、見出しだけではなかなか難しいところもあろうが、個人的には、アノマリー、中銀の政策決定、実効為替レート、損切り注文や資金管理面が勉強になった。他にも、FRBFEDの相違(P79)、SNBの1.20フロア撤廃ショック(P86~8)、独裁者に握られたトルコリラ投資家の命運(P126)など、興味深い記述満載である。

僕もSNBが1.20フロアを敷いている件は、当時の友人から聞いて、知ってはいた。でも、直接取引していないこともあって、その後どうなったのかは知らなかった。ことの顛末がチャートで載っているが、凄まじいな(P88)。また、トルコリラ/円については、本書掲載の2017年のチャートでは30円位である(P123)。現在のトルコリラ/円は7.5円近辺。著者は2017年時点で「トルコリラに日本の個人投資家の資金が流入していることに悲劇の始まりを感じるのは私だけでしょうか」(P126)、と書いている。その通りになってしまったな。

本書は現在の欧米経済情勢を知る上でも勉強になったし、面白かった。