Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

社労士試験、投機関連(大阪金先物が中心)その他諸々。このブログのトレードに関する箇所は、僕の勝手な相場観を書いています。価格も僕の予測に過ぎません。内容の正確さに最善は尽くしていますが、一切の責任を負うものではありません。売買は必ずご自分の判断で行って下さい。また、記事中で氏名の敬称は原則として省略しています。ご了承ください。

『住宅営業マンぺこぺこ日記』(屋敷 康造 著  三五館シンシャ 刊)読了

面白かった。

特に僕のような、不動産営業所の勤務経験者にとっては、どこの営業所も同じようなものだな、というエピソードが多く、親近感が持てた。

著者の屋敷は、ある事情から35歳でローコスト住宅メーカー「タマゴホーム」(以下タマゴ)に入社し、営業としてここで約10年勤務していた。本書はその間に著者や同僚営業マンに降りかかった災難(そうとしか言えないエピソードが多い)について、詳細に書いている。

幾つか見て行こう。

契約金(手付金)の支払いに窮する客(P42~)

タマゴでは、契約金は原則100万円らしい。しかし、特例で10万円から認めている場合もあるようだ。ところが、この額すら払えないのに住宅を購入しようとする客がいる、という話。結局、著者が立て替えることで落着いた。

僕の勤務していた営業所は、タマゴのようなローコスト注文住宅ではなく、ローコスト建売住宅であった。でも実体はそう変わらない。ある時、高齢者とその息子(非正規)の親子フルローンで3000万円、という設計書を見た。担当営業のSNさんに「これ大丈夫ですか?」と訊いたら、彼は「束の間でも夢を見させてあげましょうよ」と答えていたものだ。

P110では、朝、喫煙所で愚痴る店長の姿が描かれている。僕のいたところでも、ほとんどの営業マンはタバコを吸っていた。タバコと缶コーヒーが必需品、という感じ。これならまだ良いのだが、これを皆が良くこぼすのだ。僕のいた1年数か月の間で、4人の営業マンが全員1回ずつ(僕の知る限りで)、机上に飲料をこぼしていた。

悲劇はトップ営業マン(菊池さん)の突然死の場面か(P154~)。遺族と会社側は裁判で争うことになったらしいが、その後の顛末は書いてないのでわからない。ただ、労災認定は下りているようだ。

2022年1月11日の本欄で、元同僚Iさんの死について書いた。死亡当時彼は営業を離れ、お客様相談の担当だったらしい。僕は、これってクレーム処理だよな? 営業とはまた違った重圧があったんじゃないか、などと思ったものだ。この日の本欄では、Kさん、という名も出てくるが、実は彼も死にぞこない(失礼!)である。その日、僕が出社するとすでにKさんは自分の席についていたが、仕事ではなく、スマホで株取引をやっていた。暫くして、どう、儲かった? と声をかけると、彼の腕が震えていた。大損したのか、と思ってよく見ると全身が震えている、いや、痙攣している。どうしたの、と声をかけると、彼は立ち上がって接待用の空き部屋に行こうとしたようだが、途中で倒れた。所長が慌てて救急車を呼んだ。ラッキーだったのは、営業所の並びに消防署があり、すぐに駆けつけてくれたことだ。IさんKさんともに、東京からの単身赴任だった。営業の仕事内容は、本書の中身と似たり寄ったり。これじゃ体に良いわけないよな。

P126に営業マンがクマの着ぐるみを着て、展示場に来る客を誘導したり、子供の相手をしたりすることが書いてある。これも僕の営業所にあったな。僕は着たことはないが、STさんと言う50代の営業マンがこれを着て汗だくになっていたことを覚えている。STさんは聞くところによると、親が事業で成功し、その遺産を相続したらしい。相当な富裕層だ。それなら住宅営業などしなくても良さそうなのに、本人はこの仕事が好きなのだろう。かなり頑張っていて、成績も良かった。でも、カネの使い方は、、、どうかな。よく女の子を連れてディズニー・ランドに行っていたが、相手はいつも違う娘だ、というのを同僚のNさんから聞いた。「女は金について来る」と言ったのはホリエモンだったが、まんざら間違ってはいなかったのか、、、。

 

何だか僕の回想録のようになってしまったが、営業経験のある人にとっては頷ける点も多い本だと思う。何より、面白い。特にこれから住宅の購入を考えている人にとっては、一読の価値はあるな。