Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

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『聖<さとし>の青春』を観る。

9日のブログにもちょっと書いたが、NHK-BSで放送されたものだ。本作を観るのは今回で三度目。29歳で逝った悲運の天才棋士村山聖の生涯を描いたノンフィクション。僕は将棋はやらないが、存命なら本人は、羽生の好敵手としてもっともっと活躍できただろう、と思わせる。そういう意味では、早世した本人の無念さが伝わってくる作品ではある。しかし別の見方をすれば、短い生涯ではあったが、思う存分自分の好きなように生きた、とも言えるのではないかな。

印象的な場面は、羽生との対局に勝利した後、村山が羽生を誘って呑み屋で酒を酌み交わすシーン。将棋という世界の深淵を二人で見に行こう、と語り合う場面では、好敵手同士、という関係性の中で生きる者にしかわからない絆の深さを感じる。

映画では、その少し前に村山が羽生に「(死ぬ前に一度でいいから)女を抱いてみたい」と語るシーンがある。村山は自分の人生がそう長くないことをわかっていたのだろう。実際、タラ、レバの話にはなるが、村山に恋人や妻がいれば、おそらく彼の人生は変わったものになっていたかも知れない。だけどそれでは「僕らの思う村山」ではなくなってしまうだろうな。

映画の予告編で羽生本人が「(村山の生き方に接して)人生の価値は長さではない」というような意味の発言をしている。本編を観ると、この発言に深く納得するが、しかしそれでもなお、29年は短い、と思う。

好みは人それぞれ。だから僕は『東京物語』などごく一部の作品を除いて、映画作品を他人に勧めたりはしない。だから本作も人に勧めたりはしないが、観る価値があるか否か、と問われれば、十二分にその価値はある、と答えるだろうな。