Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

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ディランにノーベル文学賞。

でも、ディランの音楽は、僕よりちょっと上の年齢層の人がリアルタイムで、アルバムを深く聴きこんだ経験はありません。もちろん、「ライク・ア・ローリングストーン」「風に吹かれて」「時代は変わる」といった名曲は知っていますが。それよりもディランで印象に残っているのは、92年(だったと思う)のデビュー30周年記念トリビュートコンサート(多くの有名アーティストが参加し、ディランの曲を歌う)です。コンサートの最後に多くのアーティストがステージに登場してディランを祝福するわけです。ディランも嬉しそうでしたが、なぜかその中で、握手をしたのはニール・ヤングとだけだったんですよね。「同時代を生き抜いた同志」という意味があったのでしょうか。
それにしても、このコンサートですごかったのは、シンニード・オコナーでしょう。カトリック聖職者の幼児への性的虐待に対する抗議として、ローマ法王の写真を破ったのがテレビ放映された直後だったので、彼女の登場後はディランへの祝福そっちのけで、シンニードに対する大ブーイングとなりました。しかも彼女は当初予定されていた曲をキャンセルし、ボブ・マーリィのWarをアカペラで歌い始めたのです。最初にこのビデオを観たときは「よくわからんがすごい女だ」としか思いませんでしたが、後になって前記のような理由があることを知って、畏敬の念を持つようになりました。
この日のコンサートの終わり近くになって、出演者がみんなで「ノッキン・オン・ヘブンズドア」を歌いました。当時の僕は、この曲以降、ディランの曲を聴いていなかったので「だいぶ前に聴いた曲が、こうしてディランの歴史の中でも重要な位置を占める曲、というように評価されるようになったのか」とは思いましたが、初期の曲にあったような凄みを感じる事はありませんでした(もちろん、良い曲ではありますが)。
同じような経験をELPでもしました。当時僕がELPを最後に聴いたのは「恐怖の頭脳改革」でした。最近になってELPを再び聴き始めたのですが、その時にはもう「〜頭脳改革」は彼らの最高傑作として評価されていました。でも僕の中では、この作品は彼らの最高傑作ではなく、もっと初期の作品こそ、僕にとっての真の最高傑作なのです。
ディランの「ヘブンズドア」も良い曲ではありますが、最後に持ってくる曲かな? という疑問はありました。ディランもELPも(音楽性は全く異なるが)、昔聴いていて、その後聴かなくなって、最近再び聴き始めたら、僕の中の好きな曲と世間が評価する曲が微妙にずれていた、という事です。人は良く「世間が評価しているからこの曲を聴こう、とか、この作品を読もう、この映画を観よう」というようなことをよくやります。でも本当は「世間の評価」など関係はない、という事を言いたかったのです。

日本では、村上春樹が今年も受賞を逃したので、がっかりしているハルキストがテレビのインタビューを受けています。でも、本日このニュースにがっかりしているようでは、村上作品の読み手としては、まだまだではないでしょうか。ディランの曲は村上作品の中にも何曲か出てきますし、何よりも村上さんはこのニュースを喜んでいると思いますよ。

ところで以前、フランシス・コッポラが「黒澤明ノーベル文学賞に推薦したら、あなたには推薦人の資格はない」という返事が返ってきたというようなことを書いていました。ノーベル文学賞映画作家にも与えられるべきだ、とは僕も思います。もしその日が来たとして、だれが受賞するのでしょうか???