Rocco's log ~プログレ好きの警備員 trader with 社労士~

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『生物はなぜ死ぬのか』(小林武彦 著 講談社現代新書)ほぼ読了

生物の複雑な仕組みを極力解きほぐして説明しようとする意思を感じるが、いかんせん当方の理解力が追い付かず、読了はなかなか困難だった。ただこれは、本書が難しい、というよりも、面倒なことを徹底して避ける、僕の性格に問題があるのだろう。

それでも本書を最後まで読めたのは、生物学の本でありながら、ところどころに社会批評的な記述が目に付くからだ。学者らしく、かなり抑えた筆致ではあるが、今の世の中に対して相当な違和感を感じているな、と推測されるような箇所も散見される。その辺りも含め、幾つか目に付いたところを挙げる。

地球が今の姿になるために、過去に5回の大量絶滅があったことは知られている(P68)。一般人が知っているのは、この中で最も新しい(と言っても6650万年前だ)、恐竜など生物種の70%が絶滅した隕石の衝突くらいだろうが、それより前に、もっと凄まじい大量絶滅が4回もあったわけだ。しかし著者によれば、現在の地球はこれらを凌ぐ、過去最大の大量絶滅時代だという(P67~)。その原因は「人類の活動」。にわかには信じられないが、データを踏まえて語られると説得力がある。これを読んで僕は、明日から、グレタ・トゥーンベリとマララ・ユフスサイをこの星の共同統治者として、他の人類は皆、この二人に従うしか、生き残る道はないと思えて来たよ。

P165以降には、生きものが死ななければならない2つの理由、が書いてある。1つは、食料や生活空間の不足のため。「数が増えすぎても困る」と言うこと。もう一つの理由は「多様性のため」。

「性による多様性の獲得と死ななければいけない理由」の関係だが、キーワードは「変化と選択」。つまり「生物は、常に多様性を生み出すことで生き残って来た。生殖はそのための手段として有効。親は子より多様性の点で劣っているので、子より先に死ぬようにプログラムされている」「大型の哺乳動物は大人になるまで時間がかかるため、親による長期の保護が必要になる」。そのために必要な場が「コミュニティ」だが、ここでの教育に関し、著者は「日本の教育は~まだ若者の個性(多様性)に寛容ではない」と案じる(P175~7)。

ハダカデバネズミの社会観察と人への応用の可能性を語った箇所(P199~202)も面白い。正直言って彼らの暮らし方はかなり魅力的だ。それにしても、人に置き換えると寿命が500年、と言うのは凄い。

僕が読む本の中ではちょっと異色だった。難しいが、それなりに楽しめもした。良い時間を過ごせたよ。