この人の著作を読むのは、本作で2作目、「100分de名著」のテキストを入れると3作目だ。一般にはほとんど知られていない晩期マルクスの思考の変遷を日本人に分かり易く示したことは、この人の功績だろう。
新書と言うこともあり、NHKのテキストには載っていない幾つかの興味ある記事が読めるのも嬉しい。その辺を中心に紹介すると、、、。
1 斎藤のテイラー論(P107)
2 ブルシット・ジョブとエッセンシャル・ワーク(P121)
3 ドイツ留学体験(P168)
4 ベーシックインカム、ピケティ理論、MMTに対する斎藤の批判(P173、175)
6 2022年10月に日本で施行された「労働者協同組合法」について(P209)
僕は今、社労士の受験講師をしているわけではないが、もし現在も続けていれば、本書は格好のタネ本になり得る、と思う。皆が社労士受験を志す理由は、資本の側に立って労働者を搾取するため、ではないだろう。むしろその逆。労働者に労働法の知識を授けることで、理不尽な時代に生きる力を与えたい、と思ったからではないかな。そのように考える人こそ、本書を読むべきだ。